登壇者(登壇順、敬称略)

羽生田 俊

自民党厚生労働部会長代理・元参議院厚生労働委員長 / 元日本医師会副会長 参議院議員

羽生田俊


市村 幸一

第19回国際小児脳腫瘍シンポジウム(ISPNO2020)会長 / 順天堂大学医学部脳疾患連携分野研究講座 特任教授

市村幸一

第19回国際小児脳腫瘍シンポジウム(ISPNO2020)の会長の市村幸一と申します。ISPNOは小児の脳腫瘍のすべてを網羅する世界で一番大きな学術総会です。ISPNO2020ファミリーデイは、ISPNO2020の開催に合わせて小児脳腫瘍の患者さんとご家族にお集まりいただき、小児脳腫瘍の医療やサポートに関する最新の情報をお伝えするとともに、海外との交流の場となる予定でしたが、感染対策の観点から現地開催を断念せざるを得ませんでした。このような状況にもかかわらず、オンラインでファミリーデイの開催にこぎつけることができたのは、ひとえに皆様の温かいご支援と、実行委員会の熱意の賜物であり、改めて深く御礼を申し上げます。
ここ10年余りの間に、小児脳腫瘍の研究は飛躍的に発展しました。今では分子診断が進み、また一部の腫瘍に対しては標的治療が開発されました。日本でもここ数年、オールジャパンの体制で小児脳腫瘍の診断と治療の開発が進められています。より一層の発展を続けていくためには、医療従事者、研究者、患者さんとそのご家族のコミュニケーションが必要です。ISPNO2020ファミリーデイが、そういった交流の場の一つとなることを願っております。


寺島 慶太

国立成育医療研究センター小児がんセンター 脳神経腫瘍科 診療部長

寺島慶太

自己紹介: 米国で小児脳腫瘍の診療と研究のトレーニングを受けた後、東京で小児脳腫瘍の診療と研究を続けています。私は小児科医ですが、脳神経外科や放射線科の医師、医師以外の職種の方々と、ワンチームとなって患者・家族中心の医療とケアを提供することが、最も大切だと考えています。
講演内容: ゲノム医療、分子標的薬、陽子線といった新しい科学技術がどのように小児脳腫瘍の治療に応用されていくか、国内での最新の動きを中心にご紹介します。
世界の小児脳腫瘍関係者へ一言: ISPNOは、あらゆる国の小児脳腫瘍関係者・患者・家族が一堂に会し、自由で活発な研究成果・活動報告・意見交換を行える、唯一のプラットフォームです。日本でのシンポジウムをこのFamili Dayで締めくくり、次のドイツでのシンポジウムへつないでいければと思います。


キャシー・オリバー

国際脳腫瘍連盟 会長

Kathy Oliver

キャシー・オリバーは、2005年に設立された国際脳腫瘍連盟(IBTA)の会長であり、共同創設者です。
IBTAは、脳腫瘍の患者団体や神経腫瘍学に携わる人々のためのダイナミックな世界的コミュニティとして設立されました(https://theibta.org および https://theibta.org/kathy-oliver/ を参照)。キャシーは、治療法への公平なアクセスを求めてキャンペーンを行い、脳腫瘍の患者や介護者のサポートグループがまだ存在していない国での患者会設立を奨励し、大変厳しいこの病気の課題に対する認識を高めています。また、患者報告アウトカム、希少がん、生活の質、がん患者の権利に基づくアドボカシー、脳腫瘍治療ガイドライン、規制問題、緩和ケアなど、ハイレベルで複数のステークホルダーが参加する幅広いイニシアチブに携わっています。 現在、欧州がん機構の患者諮問委員会の共同議長であり、EURACAN(European Reference Network for Rare Adult Solid Tumours)の運営委員を務めています。また、神経腫瘍学や癌の国際会議で頻繁に講演を行っています。また、IBTA Magazine(発行部数11,000部)や隔年で開催されるIBTA World Summit of Brain Tumour Patient Advocatesのコーディネーターも務めています。


高木 伸幸

「小児脳幹部グリオーマ(DIPG)」シンポジウム開催実行委員会 実行委員長

高木伸幸

自己紹介: 2013年に11才の愛娘を「小児脳幹部グリオーマ)」で亡くしました。突然の発症、そして診断と同時に余命宣告を受け、約1年の闘病を経て、娘は住み慣れた自宅で家族に囲まれ天国へと旅立ちました。
講演内容: 娘の闘病経験から自分にできる事を模索しながら活動をしてきました。お孫様をこの病気で亡くされた歌手の菅原洋一さんと共にチャリティーコンサート開催、入院中の子供たちにプレゼント企画、高校生院内学級の陳情採択、塩崎恭久厚生労働大臣(当時)へ署名提出など、皆さまのお力を借りながら活動しております。この活動を通じて、素晴らしい出会いが沢山ございました。「治療・研究・QOL向上・患児とご家族の支援・末期の療養支援・グリーフケア」等、推進する上で、各分野のトップリーダーがご協力くださいました。
世界の小児脳腫瘍関係者へ一言: 「大人になりたかった」子供たちの想いを旨に、課題解決に向けて、全力で取り組みたいと思います。


田川 尚登

認定NPO法人横浜こどもホスピスプロジェクト 代表理事

田川尚登

自己紹介: 2003年NPO法人スマイルオブキッズを設立。2008年病児と家族の宿泊滞在施設リラのいえを立ち上げる。2017年NPO法人横浜こどもホスピスプロジェクトを設立し、代表理事に就任。他NPO法人脳腫瘍ネットワーク理事、2021年10月末横浜こどもホスピス~うみとそらのおうち竣工。小児緩和ケアとこどもホスピスの普及を目指している。
ごく簡単な講演内容: 横浜こどもホスピス~うみとそらのおうちの開設する意味について
世界の小児脳腫瘍関係者へ一言: 治療が難しい悪性脳腫瘍の治療法の確立と患者・患児を一人の人間として生きることを支えよう!


原 純一

大阪市立総合医療センター 小児医療センター長 兼 副院長

原純一

自己紹介: 大学卒業以来、40年近く小児がんの診療に携わってきました。現在は2005年から小児がん拠点病院の一つである大阪市立総合医療センターで働いています。この間、多くの小児がんの子どもたちやその家族からたくさんのことを学ばせていただきました。そしてそうして学んだ多くのことを若い世代に伝えていくことが使命の一つと考えています。
講演内容: 現在の病院に移ってから多くのAYA世代の患者さんを診療することが増えました。その過程で彼らの孤立感を伴った深い悩みを知ることになりました。そのような悩みに応える方法をスタッフで様々議論した中で、小児患者でも有効であるピアサポートがAYA世代でも有益と考え、2015年にAYA世代専用の27床の病棟を開設しました。講演ではAYA世代病棟の様子やそこでの取り組みなどについてご紹介する予定です。
世界の小児脳腫瘍関係者へ一言: 日本の小児脳腫瘍の医療体制、特にシステムについてはまだ不十分です。日本の現状を打破するためには患者家族の声が必要です。海外での先行事例を取り入れることができればと思います。


笠井 敬太

大阪大学大学院人間科学研究科 文化社会学 博士後期課程

笠井敬太

自己紹介: 16歳の年に脳腫瘍(グリオーマ)に罹患し、現在は大学院にて、「若年層のがん経験者の自立」についての研究をしています。
講演内容: これまで実施してきた調査や患者同士の交流を通して、小児脳腫瘍経験者から得た声や考えなどをご紹介したいと思います。「あの時悩んでいた」など今だからこそ言えることや、「今思うとよかった」といった、振り返って分かることなど、経験者の方の声をお伝えします。これらの声が、社会が小児脳腫瘍経験者を理解するうえでの一助となればと思います。
世界の小児脳腫瘍関係者へ一言: 私は脳腫瘍は治すものではなく、共存するものだと思っています。しかし私がこのように思えるのは、これまで脳腫瘍の治療技術の向上に心血を注いでこられた医療者の方や、経験者やそのご家族の生活に目を向けこられたすべての支援者の方々のお力があったからです。本日のISPNOファミリーデーもそのような「力」の蓄積のひとつとなることを願っております。


西村 翼

AYA世代のディスカッション「自分らしく生きていくためには」に参加

14歳の時に髄芽腫に罹患。現在は大学卒業後一般企業に就職し、社会人2年目になります。
みなさんのお話を楽しみにしています。


齋藤 愛奈

AYA世代のディスカッション「自分らしく生きていくためには」に参加

7歳で頭蓋咽頭腫・水頭症手術→放射線治療。大学卒業後現在は障害者枠で就職(3年目)。
脳腫瘍について多くの人に知ってほしいです。


柳澤 隆昭

東京慈恵会医科大学脳神経外科学講座 教授

柳澤隆昭

自己紹介: 私は、将来子どもの固形腫瘍を専門にと志して出発し、更に最も治療が困難に思われた脳・脊髄腫瘍を専門にと願い、願いかなって歩んできた小児科医です。
講演内容: 小児がん治療は、20世紀医学の最大のサクセス・ストーリーのひとつと言われ、白血病をはじめ、不治の病が治癒可能となる大きな進歩が確かにありました。しかし、21世紀も20年が過ぎた今日、大きな課題が残され、筆頭に挙げられるのが脳・脊髄腫瘍の治療です。なお治癒困難な病気があり、一方、病気・治療による合併症・後遺症を最小限にして治療後より良い人生をという点でも達成できていないことがあります。本日ご一緒に、少し過去にさかのぼり、目標達成の歩みを振り返っていただくと、世界の苦労多い歩みの中、不可能が可能になる瞬間がもたらされてきたことを確認でき、これが何よりも、可能性を信じ歩み続けようとする私達を支えてくれるように思います。
世界の小児脳腫瘍関係者へ一言: ISPNOという機会に、今世界のあらゆるところで、同じ願い、目標を持ち歩み続けている子どもたち、家族、医療者がいることを意識することは、何よりの励み、支えになると思います。世界の皆様に限りない共感をもって、皆様とご一緒に困難であってもこの道を歩んでいきたいと願います。不可能が可能になる日のために。


鈴木 智成

埼玉医科大学国際医療センター脳脊髄腫瘍科 准教授

鈴木智成

自己紹介: 長年、小児脳腫瘍の治療に関わっている脳神経外科医です。手術からその後のフォローアップまで、トータルな診療を行っています。
世界の小児脳腫瘍関係者へ一言: 一人で出来ることは限られていますが、世界中の人が集まり小児脳腫瘍の課題に取り組むことで大きな力になると思います。皆さん、手を取り合って共に歩んで行きましょう。